船は星空の下、月の下


かれは荒野を逃れ

星なき海を彷徨った末

辿り着いたのは、空虚の夜







おはなし 











…うた?

うた
うたがきこえる

聞き覚えがある
むかし聞いたことがある気がする

…いつ?

たしか…裂け谷

ああ そうか。

これは



「…ビルボの歌だ…!」


と、僕は飛び起きた。

そうしたら馳男さんが驚いたみたいで僕を見た。
そうか、今日の番は彼だったんだ。


「…あ…邪魔してしまってすみません」

「いや、此方こそ起こしてしまってすまない」


どうして馳男さんがビルボのうたを知っているんだろう?
あのときの裂け谷を必死に思いだしてみた。
ビルボがうたって、リンディアにからかわれて…

…あ。


「そういえば、馳男さんはビルボと一緒にこれを作ったんでしたね」


えっと。
確か続きは…。


「エアレンディルは海ゆく人…」


呟いてから、ちらっと馳男さんを見ると、
さっきまで正反対の場所に居たのに、すぐ傍まで来ていた。

一体いつのまに。


「…詩もいいんだが、フロド、明日も早い。寝て体力を少しでも取り戻さないと。特にあんたは」


そういって僕に毛布をかけた。
確かに、僕はホビットだから大きい人の体力には全然叶わない。
ここは大人しく眠ったほうがいいだろうと、こっぽりと毛布をかぶる。







翼ある船がかれを運んだ


世の果てから飛び去って、闇をぬけ

はるかな故国を再び見いだそうと切望して




光のあるはるかな故国を








だんだん霞んでいく視界。
耳の遠くで馳男さんの声が聞こえる。

ああ。

また、うたい始めたんだ。

低すぎず高すぎず、響く声が心地良い。
まるで子守唄みたいだ…。





唄みたいに、飛ぶ船なんて無い。
やっぱり、何処にも光なんて無いから。
だから探すんだ。
だから旅に出たんだ。

もしできるなら。
いつかまた、ホビットの里で皆と一緒に笑いたいな。
そしたらまた、くだらない唄をつくって、あのいとこたちに踊ってもらうんだ。




ああ、いいな。

無理かもしれないけど。
もう二度と帰れないかもしれないけど。









いつか。







そんな日がくるといいな。










□ あとがき □

詩は原作の私が好きな部分だけ抜き出したものです。
架檻は何気にフロドとアラゴルンの組み合わせが好き。(非カップリング)

なにが言いたいのか自分でもさっぱりですな。(ぉぃ)





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