「…ってぇ……!」
身体を動かすと、節々が悲鳴を上げた。
僕を動かせるもの
「………ほら」
火照った身体に、ひんやりとした手拭が心地よい。
頬に添えられた手拭を受け取ろうとしたのだが、腕を上げることも億劫で、結局長次に拭いてもらう形になっていた。
「……なぁ」
「…?」
「お前さ、もうちょっと加減とかできねぇ?」
今のままではいやか。
口にはこそ出さないが、そう目で訴えてくる長次に文次郎は苦笑いした。
「やじゃねぇけど、色々都合が悪い」
文次郎が気をやってしまうまで続けられる伽。
実際気持ちが良いからいいのだが、こう度々疲労困憊してしまっていては、日々の鍛錬に支障が出てしまう。
むぅと思案顔で長次は眉間に皺をよせた。
「…………」
「長次」
「…善処はする…………が」
「………が?」
「無理だと思う」
「おま…っ…そんなやる前から…!」
呆れると同時に力が抜けた。
どうして、そう断言してしまえるんだろう。
仕方がないだろう…、と長次が呟く。
「…お前が悪い」
「なんで俺が」
「…言わせる気か?」
なにを、と言おうとしたら額に口づけられてしまって、何も言えなくなった。
はぐらかされている気がして、何となく悔しかった。
けれど。
頭を撫でる長次の手が、ひどく優しくて。
先程まで自分を悩ませていたものが全部どうでもいいことのように思えてしまった。
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長次さんは文次郎が目の前にいると理性ぶっ飛ぶらしいですよ奥さん。
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