きみしかみえない











 例えばこんなとき。


 君が私に微笑みかけてくれるようになって、目をあわせてくれるようになって、時間はかかったけれど、楽しそうに話もしてくれるようになって。
 それはほんの些細な事かもしれないけれど、自分にとってはとても大切な事で。
 だからこそ、本当に嬉しくて、ついつい適当な相槌をうちながら、君の顔をみているとき。
 お前全然聞いてないだろう何みてるんだ、と口を尖らせてみるみる不機嫌になっていく君をみてるとき。
 そんな君のそばにいれるとき。

 本当に幸せだなぁと思う。



「いや、やっぱり可愛いと思って」
「怒るぞ?」
「怒った顔も可愛い」
「馬鹿かお前」
「うん」



 いいね、困った顔の君も素敵。

 なんて言うと、すかさずナイフが飛んできたりして。
 まぁ避けれるからいいんだけれども、そんなつれないところもすごく好き。

 あぁ。
 この、他愛もないやり取りがなんて楽しいんだろう。
 なんて愛しいんだろう。


 君がいればそれでいいだなんて言ってしまえるほど簡単に投げ出せる役職の私ではないのだけれど。
 それでも。

 私は君がそばにいるときは。

 このときだけは。













 私には君しかみえないんだ。





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2005/3/18のss日記より再録














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